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みやざきWEBチャンネル TOP 宮崎の人山道義孝さん

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This is the archive for February 2010

宮崎県川南町で養豚業を営む山道義孝さん。独自の配合飼料を開発され、高品質な豚の育成に成功されました。名づけて「あじ豚」。2009年には天皇杯受賞という栄誉に輝いています。
山道さんは販売にも力を入れ、ゲシュマックという販売所およびレストランを川南町て開業されています。その山道さんをおたずねしました。

吉田:天皇杯受賞、おめでとうございます。受賞後、何か変わりましたか?
山道:目立ちすぎて困りますねえ。「天皇杯」なんて、余りにも重い賞で、逆にプレッシャーを感じます。毎年贈られる賞ですが、養豚での受賞は26年ぶりなんですよ。


天皇杯とは・・・
1年間に行われる様々な農林水産関係の行事において、「農林水産大臣賞」を受賞した個 人・ 団体の中から農産、園芸、畜産、蚕糸、地域特産、林産、水産、むらづくりの7部門で、それぞれ1名もしくは1団体だけが選賞されるものです。
昨年は全国514の個人・団体がノミネートされていました。取り組みや経営内容などのプレゼンテーションや、合わせて6回にも及ぶ詳しい現地調査を経て選ばれました。
ちなみに、昨年は園芸部門で、宮崎マンゴーも天皇杯を受賞し、1産地がダブル受賞という快挙を成し遂げました。


「はやく自分で養豚をやりたくてやりたくて。7頭からのスタートでした」


吉田: 山道さんはどちらのご出身ですか?
山道: 私はここ川南の生まれです。1月2日に61才になりました。
吉田: 養豚は代々なさってるんですか?
山道: 実家は畜産はしてませんでしたねえ。そもそも日本古来の歴史としては肉を食べる習慣が無かったから、いわゆる「畜産」の歴史は長くなく、恐らく40〜50年と言ったところでしょう。私は高鍋農業高校の畜産科を出て、埼玉県の入間郡狭山市にある埼玉種畜牧場という有名な牧場で修行をしました。研修中からもう、早く自分で養豚をやりたくてやりたくて、1年で川南に帰ってきました。
20歳のとき、父親から土地1町7反を譲り受け、修行した埼玉種畜牧場から買ってきた7頭の豚で養豚を始めたんです。


吉田: 山道さんのスタートは7頭から!トントン拍子にうまくいきましたか?
山道: そりゃあ初めてのことだらけなので、たくさん失敗もあったと思うんですが、「苦労した」と言う記憶がほとんどないんですね。ただひたすらやりたかったことだから。
23才の時、法人にしました。当時は畜産で法人化するなんていうのは珍しかったですね。

吉田: 経営的にも時代の先を読んでいらっしゃったんですね。最近は農業の世界でもブランドブームですが、山道さんの『あじ豚』ブランドのきっかけは何だったんでしょうか?
山道: 昭和60年代に、ウルグアイ・ラウンドなど、貿易自由化の波が押し寄せ、他の仲間たちは事業拡大の方向に行ったんですが、私はどんなに企業努力をしても、コスト面ではこれから大量に入ってくるアメリカの安い肉に勝てるとは思えなかった。それで、いわゆる「テーブルミート」という、冷凍をしない生食とか、味がおいしいとか、品質にこだわることで勝負したいと思ったんです。

豚はポップコーンがお好き!?


吉田: まさに今そんな時代がやってきてますから、それが天皇杯の所以とも思われますね。山道さんがこだわった『あじ豚』の他と違うのはどんなところですか?
山道: 品種は、そんなに珍しいものではないんですよ。ただ、豚肉はエサで味が変わりますから、エサにこだわっています。
実は、「あじ豚」のエサにはトウモロコシは全く入っていません。
吉田: えっ!トウモロコシ無しとは・・・。トウモロコシが主流かと思っていました!
(山道さん) トウモロコシは油脂成分が多いため、豚肉がしまりのない脂になってしまうんです。人間が食べたときにしつこく感じてしまうんですね。私が使っているのはでんぷんの多い素材で、「マイロ(こうりゃん)・タピオカ・大麦」をブレンドしています。以前からマイロというエサが、脂のしまりの良い、甘い肉を作ることは分かっていましたが、マイロ自体には苦みがあって、あまり豚が食べてくれないんですね。これを加熱処理してポップコーン状態にすると食べてくれるようになりました。
吉田: 人間の子どもも、ポップコーンが大好きですが、豚も好きなんですね(笑)
山道: ポップコーンマイロのおかげで、ほんとに美味しい豚肉になりました。うちのカツ肉は、脂身を1儖幣綮弔靴討泙后ぜひここを食べてもらいたいですね!

有名焼酎メーカーとのコラボレーション


山道: もうひとつ、高鍋の某焼酎メーカーとのコラボレーションで、焼酎廃液を麹菌で再発酵させた生菌発酵飼料をエサに混ぜるということも始めました。
吉田: それは環境への取り組みということですか?
山道: 焼酎廃液を再利用するという意味ではそれもあるかもしれませんが、豚にとってもとてもいいことがあります。焼酎の酵母が豚の腸の働きを活性化して、エサを良く食べるようになったんです。それに、酵素が消化力と免疫力を高める力があるので、豚が健康に育ちます。健康な豚はやっぱりおいしいんですよ。
吉田: 「あじ豚」のおいしさのヒミツは「ポップコーンと焼酎」といったところでしょうか(笑)


吉田: ところで、豚は常時何頭くらいいるんですか?
山道:(子豚を産む)母豚が370頭です。これくらいの頭数が一番良い状態のようです。この適正頭数に落ち着くまでにもいろいろな試行錯誤がありました。
長男が養豚を手伝ってくれるようになって1年後に規模拡大に踏み切り、
1億円の融資を受けました。それまで300頭だったのを450頭まで増やすことを目標に取りかかりましたが、420頭まで増やしたところで豚に病気が入ってしまい、計画を断念せざるを得ませんでした。
その後、380頭まで減ってきたところ、不思議と病気が落ち着いたんです。つまり、豚にとって快適な環境を実現するための適正頭数が「380」だったわけです。
住環境が整い健康な豚が育つ、これはすなわち「味が良くなる」ということなので、以来、適正頭数を守っています。

息子さんたちとともに・・・


吉田: 今のお話の中に長男さんの話題が出て来ましたが、山道さんのところは
3人の息子さんが経営に参画していらっしゃるそうですね。
山道: はい、今のところ長男が畜産部門、次男が経営部門、三男が加工(ソーセージ作りなど)をやってくれています。ただ、財務など経営面の管理を担当してくれている次男は、間もなく独立を計画しています。

吉田: 農業の世界はどこも後継者不足が悩みの種ですが、山道さんはお幸せですね!どんな風に息子さんたちを説得されたんですか?
山道: 長男は本人なりにいろんな夢を持っていたようですが、高校時代に大学の進学先を決めるとき、たくさん将来の事について話しました。そして自ら畜産学科のある大学を選んでくれました。大学で畜産を学んだ後、群馬県にある全国的に有名な「林牧場」で1年修行をし、23才の時に帰って来て、一緒に畜産をすることになりました。
三男の方はもう小さいときから「食肉加工を本格的に」という私の方向について来ていたという感じで、高校を出ると同時に、群馬県にある日本食肉専門学校という全寮制の学校で徹底的に鍛え上げられ、その後東京の「マイスター村上」という業界では知らない人はいないソーセージ加工のお肉屋さんに入って3年間修行を積みました。マイスター村上の社長さんの指導は大変厳しかったようですが、社長さんの導きで、ドイツで本場のハム・ソーセージづくりを学ぶことも出来ました。
三男は6年半前に帰郷し、ハム・ソーセージ加工を始めました。3年前に今の場所に『ゲシュマック』という施設を作り、小売・レストラン・加工を一元的に行えるようになりました。ゲシュマックというのはドイツ語で「美味」という意味です。

吉田: ゲシュマックには以前から何回も立ち寄らせていただいてますが、本当におしゃれで、素晴らしいセンスですよね!これは山道さんのアイデアでしょうか、それとも全て息子さんたちのお任せしてるんですか?
山道: いやあ、建物の外観や設計、対面販売などの販売方法にしても、私にはとても思いつかないことばかりで、息子たちには父としても感心してますよ。

「夢は生産したすべての豚肉を自分たちで販売すること」


吉田:何しろ後継者がいらっしゃるというのは、たくさんの夢が描けていいことですね!将来はどのように展開したいとお考えですか?

山道:今は農場生産量の80%をナンチクさんを通じて販売しているんですが、近い将来全部を自分たちの手で販売したいんです。それはつまり、価格を生産者自らで決めることが出来るということです。その大切さをようやく息子たちも理解してくれたので、1年かけて具体的な方法をさぐりたいと思っています。今、1部をしゃぶしゃぶ肉として関西や関東の居酒屋などに直接卸したりもしていますが、あくまでも、顔の見える、というかグラム売りなどお客さんの細かいニーズに対応できるような対面販売にこだわりたいんです。大切に育てた肉を簡単にパック詰めにはしたくないというようなこだわりがどうしてもあるんですね。
夢を叶えるために、これから農場HACCAPにも本格的に挑戦するつもりでいますよ!

吉田: 山道さんのお話を聞いていると、手塩にかけて育てた豚肉が食べたくてたまらなくなりました!今日はたくさんゲシュマックでお買い物して帰ります(笑)どうもありがとうございました。



その後・・・
山道さんが精肉工場やハム・ソーセージ加工場を案内して下さいました。
ハムは1ヶ月、意外にも生ハムは2ヶ月間の熟成を経てようやく完成だそうです。
だでさえ素材の良い豚肉で作られたハム。さらに時間がおいしさを育むのですね。   
できたてのソーセージをその場でつまみ食いさせてもらいました。「豚肉生産に賭
ける情熱」というスパイスが、さらに美味しくしてくれました!