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今回は、宮崎県出身で、『骨博士』として全国で名高い神奈川歯科大学副学長・鹿島 勇教授をご紹介します。


鹿島 勇(かしま いさむ)教授
1947年宮崎県生まれ。神奈川歯科大学大学院卒業後、カリフォルニア大学留学。1982年、米国顎顔面放射線専門医認定試験合格。1990年より神奈川歯科大学放射線学教室教授となり、現在は同大学副学長。独特な方法でNASAの宇宙実験をはじめ、広い分野での骨の解析に携わっています。

吉田:  先生は宮崎のどちらのご出身ですか?
鹿島勇先生(以下、鹿島):  小学校5年生まで東臼杵郡西門川の五十鈴川の流れる小さな村で生まれ育った。あの頃は川もとってもきれいでね。遊び場は川、そしてオヤジが林業をやっていたから、山だったな。今は護岸工事が進んで昔の面影が残ってないから寂しいね。その後宮崎市内の小戸小学校・西中学校・日向学院高校を出ました。高校の頃は神父さんになろうと思っていたんだよ。でも母の強い希望があって歯科医の大学(神奈川歯科大学)へ進学したんです。
だけど僕は歯医者の診察室の雰囲気が嫌いでね。歯科医になりたくなくて、アメリカに渡って癌の専門医になろうと思って、UCLAに留学した。そこでライセンスを取ってアメリカにこのまま住もうと思っていた矢先、母校の大学から呼び戻されて・・・。
骨粗しょう症が専門でね。僕はみんなに「ホネ博士」と呼ばれているんです。面白かったのはホネに関する宇宙実験です。日本人宇宙飛行士の毛利さんや向井さん、ジャーナリストの秋山さんの宇宙実験をNASAや日本宇宙開発事業団の依頼で引き受けたこともあるんです。
吉田:  すごい!宇宙実験なんて最先端のテクノロジーに携わってらっしゃるんですね!無重力状態が人間のホネにどう影響するか、とか?
鹿島:  そうです。宇宙空間の無重力状態では骨が溶け出してスカスカになってしまう。宇宙酔いとか筋肉とか血流とかはしばらくするとそのうち影響がおさまるんだけど、骨だけはどうしようもないことがわかった。これを研究することが、今問題になっている骨粗しょう症の治療に役立つんですよ。
吉田: 骨粗しょう症の患者さんって多いんですか?
鹿島: 多いですね。今、1000万人はいるでしょうね。
吉田: そんなに!原因は何なんですか?
鹿島: 老化ですよ。女性は特に生理がとまるとエストロゲンという女性ホルモンが減少する。これが骨がスカスカになる原因です。
吉田: サプリメントで補わないといけない?
鹿島: カルシウムを飲んでも飲むだけじゃだめ。運動もしないと骨は強化されない。僕は宮崎に帰るときは3日間ほどゴルフに行きますが、カートには乗らず、歩いてますよ。ゴルフで歩くのはとってもいいですよ。そのあたりは全部私の本に書いてあります(笑)

    ・・・・ということで、3万部を売り上げた先生の著書『骨の構造改革』から骨粗しょう症を改善するための治療薬についてわかりやすく説明してある文章を引用します。
納豆の骨パワー
ビタミンK2を多く含む代表的な食品のひとつに納豆があります。
納豆菌に含まれるビタミンK2は、タンパク質から出来ている赤ちゃん骨の核(コラーゲン線維)に働きかけます。そして、核を増やすとともに、バラバラになった核をカルシウムが沈着しやすくなるように整えてくれます。
このコラーゲン線維は、今まで普通のレントゲン写真で見ることが出来なかったのは前述の通りです。ビタミンKには、ビタミンK1からビタミンK7まで7種類ありますが、その中でも現在注目を集めているのが2番目にあたるK2です。その、ビタミンK2もさらにメナキノン(MK)という名前で、MK1からMK14までの14種類あります。このビタミンK2を牛乳やバターよりも最も多く含む食品がなんと納豆なのです。

大豆食品の中でも、納豆のみが年齢や性別とは関係なく、高い骨密度の獲得、あるいは維持に関与していたことが明らかになったのです。
〜鹿島勇氏著『骨の構造改革』砂書房より〜


鹿島: 骨粗しょう症ってのはとっても怖い病気で、たかが骨ってあなどったらいけませんよ。骨粗しょう症の人がもっとも注意しなければならないのが骨折です。特に大腿骨が骨折すると寝たきり状態になり、生活スタイルが一変します。しかも、高齢で骨折し、寝たきりになると、5年以内に70%の方が亡くなると言われます。日常生活の中で骨粗しょう症の予防をこころがけてください。特に女性は若いうちから意識してください。吉田さんは大丈夫?
吉田: 私もあんまり自信は無いですけど、出産をしてないので・・・
鹿島: 女性は赤ちゃんにカルシウムを持っていかれるからね。特に気をつけて欲しい。


鹿島: ところで、吉田さんは「救骨さん」って知ってる?
吉田: はい、宮崎のうなぎの山口さんの健康食品で、一時ブームになりましたよね。
鹿島: そうそう、あれの解析を依頼されてやったのも僕ですよ。
吉田: そうだったんですか!本当にうなぎの骨はいいんですか?
鹿島: 昔からウナギの骨を粉末にして飲まれていたことに目を付けた山口社長が商品開発したんだけど、はじめは半信半疑だったけど、解析をするうちに科学的に見ても素晴らしいことがわかりました。単にカルシウムが多いからという理由よりも、ほかにマグネシウムなどのミネラル分が含まれているんだが、このバランスが最高なんですよ。今実は僕も、次世代の新しい骨のサンプリメントについて研究開発をしているんですよ。山口社長は残念ながら亡くなったけど、いやあ、面白いじいさんだったなあ。

鹿島: レントゲンで骨を撮影したことある?
吉田: もちろんあります。
鹿島: レントゲン写真で骨を見ることはできますが、骨の中の構造までは詳しく見ることは難しいのです。そこで僕たちが開発したのが「モルフォロジカル・フィルター」という新しいテクノロジーです。
骨には、カルシウムを主成分とした硬い皮質骨の中に、骨基質というスポンジ状の構造があります。この骨基質にカルシウムがつくことで強固な骨が造られていくんです。X線撮影をして、そのデータをもとに骨の中の構造を画像化するのが『モルフォロジカル・フィルター』です。これを使うことで、今まで見ることが出来なかった世界を覗くことができるようになったんです。骨粗しょう症の治療をして、薬が効いてるかどうかというのは外側の骨を見てもわからないんですが、このテクノロジーで骨の内部の構造が強化されれば、改善されたことがわかる。このテクノロジーを開発するために沢山のお金がかかりました。で、去年の5月に特許を取りました。でもねえ、こんなのは全部、僕にとってはゲームなんですよ、大人のゲーム。楽しいよ。

吉田: そんな難しそうな研究をゲームっておっしゃるのが、すごいですね!
鹿島: そのゲームの原点となっているのが、あの僕の少年時代の五十鈴川なんですよ。僕らが子どもの頃は食べるものも無いし、勉強だってそんなにしなかった、今のような教科書も無いしね。川に行ってえびやうなぎを誰よりもたくさん捕るには?とか山で鳥を捕まえるにはどうすればいいか?とかいつも「遊び」を自分なりに工夫していた。これが自分の原点になっているように思う。大学での研究にもこの姿勢が役立っているんです。

今でも里帰りするたびに五十鈴川まで足を運んでいますよ。1年に1度、子供の頃からある岩を眺め、自分で自分を励ます。何か大きな決断をしなければならない時は、そこで考えています。小さい頃の体験というのは、一生影響を及ぼすものだとつくづく思いますね。



『骨博士』として全国で名高い鹿島先生はこれまでに何度も全国のメディアに登場したことがあります。この日もビデオを見せていただきました。


これが骨の内部だ!実際にモルフォロジー・フィルターの技術で映像を見せていただきました。


この日も研究室に取材のTVクルーが訪れていました。本当に注目の最先端テクノロジーなんですね。


これが特許証です。初めて見ました。


鹿島先生の助手の川俣亮太さん。なんと彼も宮崎人!(三股町出身)