宮崎の社長さん100人
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当社は、1904年創立の老舗である。焼酎醸造蔵は、延岡市の祝子川沿いの狩鹿瀬町にある。今年、新しい蔵を同じ川の対岸沿いに作り、蔵開きをした。たまたま蔵開きの数日前、新蔵を訪ねた。祝子川の清冽な川面に光が散乱し、無数の白い蝶が翅を返しているようだった。水江さんによると、クロマダラソテツシジミという美しい蝶は、この川岸の老木にしか棲息しないというのだ。
かつて詩人の本多利通は、この祝子川を「おお/桑平/大野/狩鹿瀬/それらの地霊に黙礼して/ながれゆく」(詩「谷間」から)とうたっている。私も本多や他の詩人たちと、ここから先の大野町で茶園を営んでいた黒岩園の詩人渡辺修三をよく訪ねた。
渡辺も私も焼酎はたしなまないが、黒岩園では必ず当社の栗焼酎「三代の松」がでた。焼酎を愛した詩人の金丸桝一は、渡辺を訪ねた日のことを偲んでうたった。
  その日は薄曇りであった
  冠毛は光って流れるようにも見えた
  李白や陶淵明やが話題になった
  詩人は「三代の松」一本を卓上においた
                (詩「冠毛」から)
新蔵のロビーの木の香も高いテーブルで茶を喫しながら、私は半ば往時に心を傾け、半ば入江さんの低い声に耳を傾けた。明治以来の伝統と最新の設備、まだ醸造は始まっていなかったが、その隅々にまで杜氏である入江さんのこだわりがみてとれた。新蔵は、当社のこれまでの100年、入江さんの願うこれから先100年を連結する蝶番でもある。