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This is the archive for June 2007

みやざきWEBチャンネルの大きなテーマのひとつが「人」です。

宮崎でがんばる人、宮崎出身の人、宮崎にゆかりのある人、を中心に「宮崎の人」を紹介していきます。記念すべき第一弾は、今もっとも有名でかつ多忙な宮崎の人、東国原英夫知事です。半年先、一年先まで予定が入っている知事に無理に無理をお願いしてスケジュールをいただきました。吉田WEBキャスター、編集長、副編集長も便乗(?)同行。いろいろな話を聞かせていただきました。



「あちらをたてればこちらがたたない…。大学では習わなかったジレンマを今感じてます。」


吉田 :知事になられて予想外だったことは?

知事 :政治判断や政治決断が難しいということです。
いろんな陳情やお願いが来るんですが、すごく判断が微妙なんです。Aにとっては利益であるけどBにとっては利益にならない・・・そういう意味でなかなかタクトが振れない。決断や判断が非常に難しい。財政的に厳しい中でやらないといけないことはいっぱいある。一言で福祉と言っても、障害者の方のこと大人のこと子どものこと、場所的にも県央・県北県南も・・・。
全部聞こうと思うとあと1000億円かかる。全部はできないですよね。
このジレンマは学校では教えてもらわなかった。やっぱり現場学というか実学の世界。机上の論理と現場の違い、政治の現場は非常にリアルで過酷だなということを実感してます。
ある程度は予想はしていましたが、辛いところではありますね。やっぱり皆さん、実際の生活がかかってますからね。
 例えばある方が請願に来られたことを瞬時に「これは正当な要求なのかどうか」というのを判断するのは本当に難しいこと。この人の言うことを聞いたらあの人の言うことも聞かなきゃいけないな。ここをどう判断するのか。それを決めるのは法律しかないわけだが、法律のボーダーのところで苦しんでる人が実際にいるわけですよ。法律1本では処理できない問題もたくさんある。法律の不備や矛盾性にぶちあたるたび、自分が思い描いていたもの、宮崎を活性化するんだ、宮崎を元気にするんだ、宮崎をバラ色にするんだと意気込んでいたあのころの自分がまだまだ何も知らなかったんだっと思えてきます。もちろん、産業や農林水産業、いろんな意味での振興や発展・推進もしていかなきゃいけないんですが、それ以上に県民の皆さまひとりひとりの暮らしと対峙していかなきゃならない、そんな厳しさを改めて実感しています。


東国原知事は宮崎県行政をどう変える?


吉田 :行政用語で一般にはなじみの少ない言葉遣いなども数多くありますよね。もっと議会をわかりやすく、一般的な感覚に近付けていくような試みは?

知事 :すでにやってます。1問1答方式に変えたというのはまさにそれですよね。実は、知事の立場は執行部になりますので、議会運営のやり方を変える権限はないわけです。でも、「1問1答にしたらどうですか?」と私が言い出したことでマスコミが騒いで、それが世論を動かした。
今まではシークレットな部分が多かった議会ですが、これから政務調査費や定数是正など、ちょっとずつ議会にも改革の波が起こると思いますよ。

吉田 :三重県の前北川知事が行政改革を行ったとき、大きな改革よりむしろ小さな改革を行ったことに対してものすごい抵抗があったということですが、東国原県知事も議会からの抵抗は感じていらっしゃいますか?

知事 :先日私が「正副議長が初めて選挙で決まった」というコメントを言ったことに対してものすごく議会で叩かれた。私が主語として「自民党内で」というのを省略してしまったから起きた問題です。
私のコメントを「お前たちは今まで正副議長を談合できめちょったっか!」と議員や議会に対して怒りの電話をかけてきた人がいたらしいんです。だいたいこの質問自体がおかしいはずなのに、議員さんたちは「県民に誤解を与える発言をしたので訂正しろ」と言って議会が4時間ストップしたんですよ。まあ、これは私に対する議員さんからのジャブの一種だと思っています。


「マンゴーや地鶏ばっかり食べて本当に政治やってるのって言われるんですよ(苦笑)」


吉田 :いきなり政治の重い話から始まってしまいましたが、本当はもっと知事のパーソナリティが現れるようなお話を聞こうと思っていたんです。

知事 :マスコミはね、みんなそう言うんです。それなのに、私が「マンゴーがおいしい」「地鶏がおいしい」なんてメディアで言ってると「マンゴーや地鶏ばっかり食べて、本当に政治をやってるのか」と批判する。やってるっちゅうねん!(笑)

吉田 :知事の功績は、全国に宮崎をPRしてくれたことだけではなく、県民を政治の世界に引張りこんだことですよね。

知事 :いやいや、来てもらうんじゃなく、こっちから行くんですよ。テレビを通じて政治をお茶の間に持っていくんです。観光ツアーに県庁見学をいれてもらったのもそれ。今までハードルの高かった県政が普通になっていく。それによって興味を持っていただくというのが狙いです。


「こんなに長くブームが続くとは…想定外でした(笑)」


吉田 :これまで知事はよく「ブームは3ヶ月で去る、その後何が残るかが勝負」とおっしゃってましたが、全国の東国原ブームはいまだ衰えませんね。

知事 :これは予想外でしたねえ。結構粘ってますよね(笑)当初は3ヶ月くらいだと思っていたんですけど、もう5ヶ月目に入ってますよね。
知事に当選したとき、ある程度は全国のメディアが取り上げてくれて、宮崎のPRが出来るだろうなあとは予測していたんですが、ここまでとは思わなかったです。
よく道を歩いていると「がんばって〜がんばって〜」と声をかけてもらうんですよね。何故でしょうかね、やっぱりぴかぴかの1年生知事が
情熱だけを頼りに一生懸命やってる、そんな姿が逆に頼りなく見えて応援したくなるんでしょうか。不思議なことに、東京に行ったときには東京都民から、「今度は都知事になって〜」なんて言われるんですよ(笑)


「式典で面白いあいさつ、期待されてるんですか?」


吉田 :大変忙しそうですが、タレント時代より忙しいですか?
知事 :全然忙しいですね。何倍くらい忙しいんだろう?こんなに忙しいと思わなかったですね。まあもあちろん、知事職というのはいそがしいものだと知ってはいましたが、まさかここまでとは。

吉田 :もちろん、東国原知事だから、というのもあるんでしょうけど。
知事 :おかげさまで全国に注目してもらって一挙手一投足をメディアが追っかけてきますから。取材は出来るだけ入れてるんです。宮崎をPRするために。表敬や式典のご招待も出来るだけ入れてるんです。だから時間が無い。そうすると土日も無くなりますよね。

吉田 :式典のあいさつなど、やっぱり面白いあいさつを期待されますよね。
知事 :期待されてるんですかね?
吉田 :もちろんですよ!(笑)
知事 :あいさつは、私はスタッフが書いてくれた原稿を読みませんからね。申し訳なくは思いますけど。ただ、ペーパーは必要なんですよ。この式典がどういう経緯で開かれているのか、どういう団体なのか、その勉強になりますからね。
ただし、それを読むかは別で、私はやっぱり自分の言葉で自分のハートで、自分の気持ちで、話したいんですよねえ。下手でもつっかかっても、上手じゃなくてもいいんです。それにたいする自分の「思い」が伝わらないと、あいさつって事務的・義務的になってしまう。きちっとした式典なんかにはそういった部分も必要かもしれないですけど、そうでなかったら、そこで言質を取られて後で批判されるというようなことが無ければ、自分の言葉で、自分の気持ちであいさつをするのが、私は礼儀かなと思ってますけどね。

吉田 :どんな生活スケジュールなんですか?
知事 :朝のテレビ出演が無ければ大体7時とか7時半とかに起きます。もうちょっと馴れたら早朝のジョギングをしようと思ってますけど。支度して新聞読んだり、だらーっとしたりして、平均で8時半か9時くらいに登庁。公務はだいたい7時から7時半くらいかな、終るのが。その後が政務で、取材とかテレビ出演等々があって、だいたい10時か11時までくらいかな。で帰ってピザとって食べて(笑)。で食べながら翌日の関係資料読んだりしてね。寝るのは1時2時ですかね。夕べは原稿がたまっていて、朝方4時まで書いてました。原稿依頼も断らないもんだから、原稿たまっちゃって。

吉田 :原稿といえば、知事に就任されてからすでに3冊の本を出版されてますが、その多忙を極める生活の中で、一体いつ執筆されているんですか?
知事 :確かにこれは厳しかったです。普通は自分で書くんですが、さすがにこの本は口述筆記にさせてもらいました。それでも、こうやって何時間もしゃべるわけです。そして上がってきた原稿をチェックしなくちゃいけない。この繰り返しですからね。これを2月3月4月。さっき言ったように、公務が終って政務が終って、10時11時から始まるんです。寝るのは毎日3時4時。それを3ヶ月。倒れるかと思っちゃいました。


「公務に政務にテレビ出演に執筆活動。倒れるかと思ったらほんとに倒れちゃいました(笑)」


吉田 :で、ほんとに倒れちゃったんですよね。
知事 :はい、ほんとに倒れました(笑)あの時実はほっとしたんですよ、熱にうなされながら「ああ、休める〜」って。(笑)またいいんですよ、県病院の居心地が。静かで人いないし。見晴らしもいいし。でもインフルエンザだから他人にうつしちゃいけないと個室に回されて。でもその個室代が高い高い!後で請求が来てびっくり、「知事割引無いのかな」って思っちゃいました。(笑)無いんですよね、普通の公務員ですから。

吉田 :以前からブログを書いてらっしゃいますけど、ITに対する知事の考え方は?
知事 :すごい時代になったなーということですね。その情報伝達量たるや、本当に世界中ワンタッチで配信し、また取り出せる。正直何なんだろうという感じです。だけど、私はあんまりインターネット使わないんですよ。ほとんと自分のブログの書き込み、あるいはメールをし合うくらいかな。


吉田 :でも相当な分量書き込みされてますよね。
知事 :書くのは書くんですけど、調べるのをあまりやらないんです。調べるのは秘書のまっちゃんで、ウィキペディアなどで調べてくれます。私が彼に「○○調べて」って言うと「知事、あなた今、パソコンの前に座ってるんですよね、ここをこうやってこうやってやると出てくるんだから、自分でやったらどうですか」って言うんですけどね、「うわあすごいな」ってなっちゃう。

吉田 :じゃあ、知事にとってインターネットは情報を入れるツールというよりも自分が情報を出していくもの、という存在なんですね。
知事 :そうですね。私、携帯の写真もね、使いこなせてない。どちらかというとやらない、といったほうが正しいかな。というのは、タレント時代、自分が携帯のカメラを向けられるのがあまりいい気持ちがしませんでしたからね。普通に歩いてて、隠し撮りされるのがね。今はしょうがないと思ってますけど。自分の中でそういうのやらない、と決めるともうやらないんですよね。ていうか、情報を発信することは得意分野ですけど、情報をもらう方は苦手意識がどうしてもありますねぇ。


独身東国原知事にお見合い話が殺到!!


吉田 :ところで、全国からお嫁さん候補の方が殺到しているらしいですね!
知事 :は、はい。後援会の方にも十数通来てるみたいです。今県庁や後援会に県民の皆さんからの手紙がたくさん届いていて、できるだけ私は自分で目を通すことにしているんですよね。机の下に山ほど、あります。で、今ようやく3月上旬まで来てるんですけどね。結婚して下さいとか、孫娘とどうかとか、中には写真同封もあります。
スタジオで撮ったのか証明写真のようなものまで。ありがたい話ですが、とにかく今は県政が第一と考えていますし、結婚という考えはないですね。


今後宮崎をとにかく売り込む!!


吉田 :今後宮崎を活性化するためにはどういうことが必要でしょうか
知事 :宮崎の知名度が安定的に得られれば、PRとしての効果はあったということで、ある程度の成果はあったということで私はいいと思ってます。
たとえば北海道や沖縄はあえて宣伝しなくてもインプットされているじゃないですか。「北海道?沖縄?いいね、行きたい行きたい」っていうような。そういった位置づけに宮崎がなってくれればひとつは成功したかなと。
私がテレビとかに出てるのは実は、単に観光や農産物のPRだけではないんです。企業誘致とか、宮崎県や宮崎県出身者の方が、郷土に誇りを持つ、もっというと興味を持ってもらう、そういう啓発のためなんです。
「宮崎が今元気だよね」ってなると、企業が来てくれる。すると県内の産業が活性化する、あるいはいろんな方が宮崎に興味を持ってくださる、それがすべてのレベル、たとえば、教育・福祉・産業等々、すべてのレベルを上げていくことにつながるんですよね。たとえば、私が宮崎の中山間地域を訪れると、木が伐採されただけで植えられていないはげ山をメディアが写し出す。またたとえばシャッター通りに自分が行けば、中央の人は地方の厳しい現状を目にする。ある救急病院に医者が足りないということをテレビで見たお医者さんが、「困ってるんだな、じゃあ行ってみようかな」なんてことになるかもしれないわけですよ。
そういった意味での試みなんです。メディアを通じて情報発信することで全体的な底上げをはかろうと、思っているわけなんです。もちろん、メディアに出るって事は全部を見せるってことですから、実は両刃の剣なんですね。たとえば、私が紹介した地鶏も、とにかくいろんな人が食べますから、中には赤鳥がおいしくないっていう方もいらっしゃる。そういったマイナスイメージを残していく可能性もあるわけだから、その後はもう県民総力戦だなと。とにかく宮崎県が表舞台に出たわけですから、観光客その他の人に宮崎に来てもらったら「もう一回行きたいね」という感想を持ってもらえるようにしたいですね。「おもてなし」を県民一人一人が自覚を持って対応していくといったような県民総力戦に持っていけたら、宮崎県のこれからは「高止まり」「高め安定」が期待できるのではないかと思います。

吉田 :たいへんお忙しい中ありがとうございました。
知事 :こちらこそありがとうございました。

(2007年5月17日宮崎県庁知事室にて)






取材開始。右から吉田キャスター、編集長、知事、 副編集長。






冒頭 議会関連の話で熱のこもった話が展開。






ときおり見せる笑顔が印象的。






大きな身振り手振りでわかりやすく話をしてくださる知事。






知事の椅子 座っている時間はほとんどない?






吉田キャスターの質問を真剣かつやさしく聞いてくれる知事。






後半は眼鏡もとり笑顔で楽しいエピソードをいくつも。






さすが、話のうまさにアクションも人をひきつけます。






会話に花咲くも、残念ながら時間が、、、、。






取材を終わって記念写真。






県庁正面玄関 観光ツアーの目玉の等身大看板と。